石庭で有名な京都の龍安寺の裏庭に、
丸い石の真ん中が
四角にくりぬかれ、
その四角を口に見立てて
時計回りに
読むと「吾唯足知(われ、ただ、足るを
知る)」と
読めるつくばいがあります。
古来より中国では丸は「天」を、
四角は「地」を表すと言われています。
天と地の間にあるのが私たちの生きる世の中です。
その間に調和のとれた形で並ぶ「吾唯足知」の文字。
私はこの図が「世の中が調和の取れた社会になるために必要なこと。
それは“足るを知る”ことである」ことを示唆していると思います。
世界には、さまざまな対立が存在し、しかもその対立は先鋭化しつつあります。
しかし対立の先に真の解決はありません。
どこかで対立を超えて調和へと進んでいかなければなりません。
この対立を超えて調和へと導く智慧。
私は、その智慧こそが「足るを知る」ことだと思います。
私たちはひとりでは生きてゆけません。
他者の存在があってはじめて私たちは存在できるのです。
そのことに感謝し、他を思いやる気持ちを持つ。
そこに世の中の調和が生まれます。
そのためには、まず自らが「足るを知る」ことが必要です。
私はこの「足るを知る」という智慧を世の中に広げて、
一日も早く調和のとれた社会が実現することを
めざしてまいります。